低FODMAP(フォドマップ)食とは?


オリゴ糖や乳製品、食物繊維を多く含む豆類、果物などは健康に良いと言われ、「お腹の調子を整える」「便通の改善」などの効果を期待し、積極的に摂取されている方も多くいらっしゃると思います。

しかし、そういった食品を摂取することで、身体にマイナスの症状が現れる方もいるそうです。

今回は、過敏性腸症候群などの胃腸症状のある方の食事療法の一つである「低FODMAP食」についてご紹介いたします。

 

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)とは?

低FODMAP食を勧められる疾患として「過敏性腸症候群(以下IBS)」があります。

日本では現在、約7人に1人がIBSに当てはまると推定されており、30代より若い世代に比較的多くみられる傾向があるといわれています。

IBSは、慢性的に腹痛を伴う便秘あるいは下痢(もしくはその交替)を繰り返し、排便すると痛みが軽くなるという症状と、通常の臨床検査ではその原因となる器質的疾患(炎症や腫瘍など)を認めないことが特徴の疾患です。

さらに、膨満感、鼓腸、残便感、腹部の不快感、腹鳴などの症状が出る方もいます。

病因としては、外因と内因に分けられ、それぞれ消化器官、中枢神経系の病態を惹起するものに分類できます 。


中枢神経系の外因として、関与が確実と言われているのが心理社会的ストレスです。
そのため、IBS症状と共に不眠や不安、抑うつなどの精神的な症状に悩まされる方もいます。

そして、消化器への外因として直目されているのが、腸内細菌と食物です。

低FODMAP食とは?

FODMAPとは、F(Fermentable:発酵性)、O(Oligosaccharides:オリゴ糖)、D(Disaccharides:二糖類)、 M(Monosaccharudes:単糖類)、And(&)  P(Polyols:ポリオール*)のことで、これらの摂取を控える食事療法を 「低FODMAP食」と言います。

*ポリオール:多価アルコール。FAO/INFOODSやコーデックス委員会では糖アルコールを「ポリオール」と呼びますが、日本の食品成分表では「糖アルコール」と記載しています。「糖アルコール」には、ソルビトール、マンニトールなどが含まれます。

これらの糖類は、以下ようなの特性を持ちます。
・小腸内の水分量を増やすこと
・腸内細菌のエサになるとともにガス発生の原因にもなること
・腸の蠕動運動を活発にすること

腸の働きを活発にしてくれる、という良い面もある「FODMAP食品」ですが、IBS患者にとっては、上記の特性は「下痢」や「腹痛」「鼓腸」「腹鳴」などの原因になると考えられ、摂取を控えることでそういった症状が軽減することが報告されています。

そのため、低FODMAP食はIBS症状の改善に役立つ食事療法として注目されています。

低FODMAP食と過敏性腸症候群

過敏性腸症候群を有する患者90人に対してのアンケートを用いた調査で、低FODMAP食が腹痛や膨満感、鼓腸、下痢などの症状を優位に改善したという結果が報告されています。

また、オーストラリアで行われたクロスオーバー試験においても、オーストラリアの典型的な食事と比較し、低FODMAP食を摂取した群で有意に全体の胃腸症状スコアの改善がみられた、という報告があります。

しかし、従来から治療食として勧められてきたIBSに適さない食品(脂質が多い食品、刺激の強い食品、香辛料、カフェイン、炭酸飲料、アルコール飲料、不溶性食物繊維の多い食品、豆類・キャベツ・タマネギなどのガスを産生する食品)を控えるような食事療法も、IBS症状の緩和に有効であり、低FODMAP食と比較した場合にも、改善においての有意差はないという報告もあります。

そのため、IBSの治療に用いる食事療法の選択は柔軟に行うことが勧められています ニコニコ

低FODMAP食は健康に良いか?

FODMAP食として挙げられる食品には、「果物」「乳製品」「穀類」「豆類」「野菜類」が多く含まれ、それらは各々、栄養素を豊富に含み、生理作用を持つ食品でもあります。

オリゴ糖や果物、乳製品などを摂取することで、便秘などの症状が改善される方もいるでしょう。

「低FODMAP食」で改善がみられるのは、IBS症状に対してであり、全ての方に当てはまる「健康食」でないことに注意していただきたいと思います キョロキョロ

ただし、食事の後に「お腹が張る」ような症状や、慢性的な「下痢」「便秘」などでお悩みの方がいましたら、低FODMAP食を取り入れてみて、「ご自分に合わない食品」を見つけるようにしてみても良いと思います。

もしFODMAP食を控えることで症状が改善した、もしくは出なくなったという場合は、今度は少しずつそれらの食品を口にしてみるようにしてみると、原因となっている食品を特定することができるかもしれません。
IBS以外にも慢性的な下痢や便秘が続く疾患もあります。「慢性的な症状」がある場合は、原因となる疾患を特定することが大切です。まずは医療機関に相談するようにして下さい。

 

話題になると「健康に良さそう」で興味を持つ方もいらっしゃると思いますが、自分に合う「健康的な食事」は一人一人異なります。

不定愁訴などがある方は、極端な治療食を取り入れるより、栄養素の過不足は無いか、食事はバランスよく食べているか、などの基本的なところから意識されると良いと思います ウインク​​​​​​​

(管理栄養士 あ)

 

日消誌 2014;111:1323-1333 過敏性腸症候群の病因
IBSネット
The low FODMAP diet improves gastrointestinal symptoms in patients with irritable bowel syndrome:a prospective study.
A diet low in FODMAPs reduces symptoms of irritable bowel syndrome.
Diet low in FODMAPs reduces symptoms of irritable bowel syndrome as well as traditional dietary advice: a randomized controlled trial.
パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません 江田 証 著