ロジック&しくみ編

栄養素やサプリメントにはエビデンスが無い?【第3回】

既に触れたように、医療に携わる方とサプリメントに関してお話しすると「栄養素の補給やサプリメントが、病気の治療や予防に役立つという『エビデンス』はあるのですか?」という質問を受けることが多くあります。

このようなシチュエーションで期待されているのは製薬会社が医薬品の有効性を実証するために行なう様な「大規模な無作為抽出二重盲目試験」や複数の論文を検討した「システマティック・レビュー」と推察されます。

残念ながら、栄養やサプリメントの研究は、少人数の比較試験やコホート研究がほとんどで、なかなか医薬品と同じようなレベルの研究が行なわれていないのが現実です。
こうした状況を見て「サプリメントや栄養素にはエビデンスが無い」と判断されている方も多いことでしょう。

しかし、栄養素の働きはこの100年余り、生化学の分野で地道に研究が継続され、体内でどのようなメカニズムで働いているのかがどんどん明らかになっています。また、医薬品の開発もこうした生化学の研究に基づいて行なわれています。つまり、栄養素の働きは医療の土台をなしており「エビデンス以前のお話し」とも言えるわけです。

さらに加えるなら、多くのビタミンやミネラル、脂肪酸、アミノ酸は医薬品としても存在し、どのような疾患に有効なのかが明記されています。

サプリメントの効果を検証する研究はポジティブなものとネガティブなもの、結果がまちまちで矛盾することも多く、この点を指摘して「サプリメントの効果は不明」と評価されてしまう状況も見かけます。

しかし、実際にサプリメントの製造や販売に携わる立場からすると、研究に使用されたサプリメントの品質や性能はどうだったの?と疑問を抱いてしまうのです。

例えば

  • サプリメントにはきちんと、表示通りの栄養素が含まれていたの?
  • 信頼出来る原料を選んでサプリメントを作ったの?
  • 栄養素以外の副材料の顔ぶれや品質は大丈夫?
  • 胃できちんと崩壊し、溶けていたの?
  • 製造後、どのくらい経っていたの?
  • 保管や輸送は、しっかり管理されていたの?

といったことが気になります。
残念ながら、世の中には不誠実な製品も多数存在していて、サプリメントの性能や品質は玉石混淆。こうしたことにも注意を払わないと、サプリメントの効果を判断する研究は出来ないはずなのです。

「おそらく、そこまで配慮していない研究も多数あるだろう」と考えると、結果がまちまちなのは当たり前のことと考えられます。つまり結果がまちまちだから、サプリメントには効果が期待出来ないと考えるのは早計ということです。

はっきり申し上げて、世の中には「摂取する方が体にマイナスなサプリメント」もありますから。。。

ビタミンやミネラルとは

ビタミンやミネラルという言葉は、患者さんも耳にしたことがある言葉だと思われますが「どんなモノで、どんな働きをしているのか?」について理解している方は少数派でしょう。

そこで、念のために確認をしておくと、ビタミンとは、人体が自分で作れない、もしくは十分な量を作れないため、外部から摂取する必要がある「有機物質」のこと。ミネラルは、「水素」「炭素」「酸素」「窒素」以外の体が必要とする元素のことです。

とはいえ、この定義は専門家向けで、患者さんにとっては分かりにくいと思います。
私は、一般の方向けにお話しする際には「ビタミンは(いくつかの炭素がつながった)かたまり、ミネラルはバラバラの原子で、体内で私たちが生きて行くために欠かせない働きをしている栄養素です」とお伝えし、興味を持たれるようなら、その働きについてのご説明を続けるようにしています。

診療行為における栄養素の位置づけ

多くのビタミンやミネラルが体内で果たしているのは、様々な代謝の反応を司る「酵素」のサポートです。

その他、体液のバランスを整えたり(カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、塩素など)、細胞の核に働きかけて遺伝情報の発現をコントロール(ビタミンA、ビタミンDなど)したり、体内で発生する活性酸素の除去(ビタミンC、ビタミンEなど)などの多彩な働きも担当しています。

主な役割が「酵素のサポート」ということは、ビタミンやミネラルが不足すると、その酵素が担当する代謝が滞り、不調につながるということを意味します。

自動車に例えると、酵素の働きを高めるビタミンやミネラルは「アクセル」に相当します。一方、多くの医薬品は「望ましくない症状の原因になっている反応を抑制する」ものが多く、この例えでは「ブレーキ」に相当するします。

  • アクセル → 必要な代謝を促進するもの
  • ブレーキ → 望ましくない症状を抑制するもの

自動車を円滑に運転するためには、ブレーキとアクセルの両方が必要になるように、患者さんの体調をより良い状態に導くためにも、ブレーキとアクセルの両方を使いこなすべきだと考えられます。

是非、ブレーキ役の医薬品とアクセル役の栄養素の両方を、ツールとして使いこなして頂きたいと思います。
また、患者さんへの説明の際にも、このアクセルとブレーキの例えは、理解して頂きやすいと思います。

この記事の著者

田村忠司

株式会社ヘルシーパス 代表取締役社長

東京大学工学部産業機械工学科卒業。
株式会社リクルートを経て、98年「日本老化制御研究所」を擁する日研フード株式会社に入社。
取締役経営企画室長、サプリメント製造子会社の代表取締役社長として活躍。

2006年「医療従事者が自信を持って使えるサプリメントを提供してほしい」との、医師、薬剤師からの要請に応えて、株式会社ヘルシーパスを設立。
栄養療法に取り組む医師・歯科医師へのサポート・情報提供のため、日本全国を飛び回り、楽しく仕事に取り組んでいる。

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