自然園いしわた農場

人間同様、植物も免疫力が大事

いまから40年近く前、当時は農薬中毒で亡くなるみかん農家がたくさんいました。見た目が綺麗な状態で出荷するためには、農薬が必要です。ですが、食べずに捨てる皮のために命をかけてみかんを作ることに疑問を持ったのが、有機農業を始めたきっかけです。

まず化学肥料をやめ、５〜６年かけて農薬散布の回数を半分まで減らしました。すると土の状態が変わっていき、害虫や病気も減りました。その頃から、キウイの栽培も始めました。
キウイは最初から無農薬で、肥料は有機質のものを使っていましたが、キウイが枯れる「かいよう病」という病気が畑の一部に出ました。肥料のやり過ぎが病気の原因と当時すでにわかっていたため、有機の堆肥をすぐにやめたところ、病気は出なくなりました。

それから10年くらい経ったときに「肥料が原因ならもう、かいよう病にかからないのではないか」と考え、実験しました。かいよう病にかかった枝を、健康な木に接ぎ木してみたのです。３年連続で試しましたが、一度も病気は移りませんでした。人間の体と同じで、自分が健康なら周りに風邪を引いている人がいても移らない、免疫力は大事だと確信を持てました。

摂取したもので、体は作られる

３種類のキウイを使った保存実験を10年以上続けています。「化学肥料や農薬を使って育てた（慣行農法）キウイ」「無農薬かつ有機質の肥料を使用して育てた（有機農法）キウイ」「無肥料無農薬で育てた（自然農法）キウイ」３種類のキウイをビンに入れて常温で保存しているのですが、腐敗の度合いがまるで違うのです。

慣行農法のキウイは２、３年で液状になって、ひどい匂いがします。有機肥料を使用した有機農法なら大丈夫かと思いきや、これも腐って崩れてしまいました。自然農法のキウイだけは、腐敗せず形が残って匂いもせず、カビも生えていません。実験を通して、「植物も、栄養（肥料）の与えすぎは良くない。成人病や糖尿病になってしまう人間の体と同じだ」とよくわかりました。