【論文紹介】皮つきリンゴを食べて筋力を維持


前回は栄養価の高い秋の果物ということでリンゴリンゴについてご紹介しましたbulb
→栄養価の高い秋野菜(果物)~リンゴ~

今が旬で美味しいリンゴですが、もしかすると皮ごと食べることで筋力の維持に役立つかもしれません音譜
今回は、「皮つきリンゴと筋力の維持」について調べている論文をご紹介しますbowtie


●皮つきリンゴを食べて筋力を維持

「皮付きのリンゴを食べることで筋力を維持できるかもしれない」という内容のアイオワ大学の研究者らの報告ですサゲサゲ↓

【目的】
老化によって筋力低下や筋委縮が起こるが、その原因となっているそのもの(メカニズム)は分かっていない。

また、今までの研究から2種類の食品由来成分「ウルソール酸※1」と「トマチジン※2」は老化によって起こる筋力低下や筋委縮などの筋肉の衰えを抑えられる可能性がある。

そこで、「筋肉が衰えるメカニズム」や「食品成分によって筋肉の衰えを抑えることができるか」をマウスを用いて調べるネズミ

【方法】
生後22か月(人間でいうと約60歳)のマウスに、0.27%のウルソール酸または0.05%のトマチジンを含むエサと、それぞれ含まないエサを2ヶ月間食べさせて生後6か月のマウスと比較した。

また、若年成人に当たる生後2か月のマウスにATF4※3を骨格筋繊維に過剰発現させて、その影響を調べた。

そして、生後22か月のATF4欠損マウスと普通のマウスの比較をした。

【結果】
・生後6か月のマウスも22ヶ月のマウスも体重は同程度であったが、生後22か月のマウスは大きな筋肉である大腿四頭筋と上腕三頭筋の合計筋肉重量は有意に少なく握力も有意に減少した。

ウルソール酸またはトマチジンを含むエサを食べた生後22か月のマウスは有意に筋肉量や握力が増加した。

ATF4に関連する遺伝子の発現は、骨格筋タンパク質の合成を減少させた

・生後22か月におけるATF4欠損マウスと普通のマウスの体重に差はなかったが、骨格筋は有意に大きく握力も有意に増加した。

・ATF4によって調節されているmRNAはウルソール酸とトマチジンによって抑制された。

【まとめ】
ATF4は筋肉老化の重要な情報伝達物質であり、その活性を抑えるウルソール酸やトマチジンは老化による筋力の低下や筋委縮を抑える可能性がある。

※1 ウルソール酸:リンゴの皮から見つかったテルペノイド
※2 トマチジン:緑トマト由来のステロイド性アルカロイド
※3 ATF4:activating transcription factor 4 の略で、様々な細胞ストレス応答を仲介する転写因子

<論文要旨>
http://www.jbc.org/content/early/2015/09/03/jbc.M115.681445.abstract?sid=7affca86-418b-43d3-ae6e-9d4c311b8a87

日本では緑トマト(完熟していないトマト)を食べる習慣はあまりないので、トマチジンの補給よりもリンゴを食べてウルソール酸を補給した方が良さそうですねリンゴキラキラ

ちなみに日本で一般的に流通しているリンゴのふじには1㎠中に平均で0.8㎎のウルソール酸が含まれているそうです(Food Chemistry 106 (2008) 767-771)。
中くらいのふじで1個の表面積は50~70㎠程ということなので、リンゴ1個で約48㎎のウルソール酸が摂れる計算になりますbulb

この論文は動物レベルの実験なので、ヒトではどれくらい皮付きのリンゴ(ウルソール酸)を摂ったら良いのかは分かっていませんが、これからリンゴを食べる時は皮をむかずに食べた方が良さそうですねにこにこ

また、リンゴ以外には柿の葉ローズマリータイムなどにもウルソール酸は含まれているようです音譜
柿の葉茶を飲んだり、料理にハーブ(ローズマリー、タイム)を使用するのもお勧めですグッド!

 

(さ)

 

<参考>
・リンク・デ・ダイエット 世界の最新健康・栄養ニュース(http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=51282&-lay=lay&-Find)
・東邦大学メディアネットセンターHP(http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/aging/doc1/doc1-02.html)
・国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
・Biol Pharm Bull. 2002 Nov;25(11):1485-7.

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