【論文紹介】座りっぱなしをやめて糖尿病改善


新年おめでとうございますsunrise

年始は寝正月だったという人もいらっしゃるかもしれないですねsweat_smile
ゴロゴロ寝ていなくても、テレビを見たり家族と会話したりなど座っている時間が長かったという人は多いのではないでしょうかquestion

もしかすると、激しい運動をしなくても座っている時間を短くするだけで糖尿病が改善するかもしれないようですsmiley

今回は「座っている時間と糖尿病の状態」について調べている論文をご紹介しますbulb

 

●座りっぱなしをやめて糖尿病改善
2型糖尿病患者は、ときどき立ち上がったり、のんびりと散歩するだけでも血糖コントロールが改善する可能性がある」という内容の、オランダにあるマーストリヒト大学医療センターの研究者らによる報告ですarrow_double_down

 

【目的】
2型糖尿病患者には、中程度~強度の激しい運動が推奨されているが、ほとんどの人が実行できていない
また、2型糖尿病の合併症である筋力低下や末梢神経障害は身体活動の障害となるため、2型糖尿病患者では推奨される運動ができない可能性が高くなる。
そのため、2型糖尿病の治療には激しい運動の代替手段が必要である。

最近の研究では、運動時間に関係なく座っている時間と2型糖尿病のリスク上昇が関連していることが示唆されているが、一般的な成人は1日の大半をテレビを見たりコンピューターを使用するなどの座位中心の活動をしていることが多い。

そこで、座っている時間を減らして体を動かすことで、2型糖尿病患者の血糖値にどの程度の影響を与えるのかを調べる

 

【対象】
インスリンを使用していない40~75歳(平均年齢63歳)の男女19名(男性13名、女性6名)の2型糖尿病患者

 

【方法】
無作為化クロスオーバー試験
対象者に以下のプログラムをそれぞれ4日間実行してもらい、身体活動や血糖値の状態などを調べた。
なお、食事は標準化されたものが与えられた。

座位中心座位時間14時間。歩数 1日4,415歩。
運動座位時間の1.1時間を軽度から中程度のサイクリング(5.9メッツ)に置き換えた。歩数1日4,823歩。
座位減少座位時間の4.7時間を立位(2.5時間)軽い歩行(2.2時間)に置き換えた。歩数1日17,502歩。

※メッツとは
身体活動の強さ安静時の何倍に相当するかで表す単位のこと。
座って安静にしている状態が1メッツ。普通歩行が3メッツに相当する。

 

【結果】
24時間血糖値空腹時インスリンレベル座位中心よりも座位減少の方が有意に低かった

運動と座位中心を比較した場合24時間血糖値は減少したが有意差はみられず、空腹時インスリンレベルについても有意差はなかった

運動は座位中心と比較してインスリン抵抗性が改善しなかったが、座位減少では座位中心と比較して有意にインスリン抵抗性が改善した

座位減少では座位中心と比較して空腹時中性脂肪レベルが有意に低かった

 

【まとめ】
座りっぱなしではなく、立ったり軽く歩いたりする時間を増やすことで2型糖尿病が改善する可能性がある。

 

<論文>
Breaking sitting with light activities vs structured exercise: a randomised crossover study demonstrating benefits for glycaemic control and insulin sensitivity in type 2 diabetes.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27904925

 

これはオランダ人を対象にした試験であり、結果をそのまま日本人に当てはめるのは難しいかもしれません。
しかし、日本人の1日の歩数は少ないことが分かっているため、糖尿病の改善だけでなく健康の維持増進のためにも座っている時間を減らして活動量を増やすことはとても良いことだと思いますthumbsup

なお、厚生労働省が調査している国民健康栄養調査(平成27年)によると、日本人の20~64歳の1日の平均歩数男性 7,970歩女性 6,991歩であり、「健康日本21(第2次)」の目標値は男性 9,000歩 女性 8,500歩です。

デスクワークが中心の仕事をしていると、1日に歩数を1,000歩増やすのも大変ですが、
エレベータやエスカレーターではなく階段を使う
掃除はロボット掃除機に任せないで自分でする
目的地の1つ前のバス停で降りて歩く
近場の買い物は自動車を使わない
テレビを見る時間を減らして散歩する時間を作る

など、自分なりに工夫をして座っている時間を減らして今年1年を活動的に過ごしたいものですねsmile

 

20170105%e3%80%80%e5%ba%a7%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b%e6%99%82%e9%96%93%e3%82%92%e7%9f%ad%e3%81%8f%ef%bc%88%e3%83%a1%e3%82%a4%e3%83%b3%ef%bc%89

 

(さ)

 

<参考>
・ケアネットサイト(http://www.carenet.com/news/general/hdn/43146
・厚生労働省サイト
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/11/s1109-5g.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000142359.html

研究・論文紹介 関連記事もご覧ください

\この記事が気に入ったらフォロー/

Facebook

最新情報をお届けいたします

ヘルシーパスのFacebookはこちら>

関連サイト