
カロテノイドは動植物に広く存在する黄色や赤色の色素であり、強い抗酸化作用を持っています。
今回は、「カロテノイド」についてわかりやすく紹介します!
目次
カロテノイドとは?
カロテノイドとは赤から黄色にかけて野菜や果物などを彩る色素のひとつで、自然界には600種類以上存在すると言われています。
植物内には「クロロフィル」という緑色の色素と共存しており、赤や黄色に限らず、緑色の濃い野菜にも含まれています。
カロテノイドは大きく分けると、カロテン類とキサントフィル類に分類されます!
カロテン類は、緑黄色野菜に多く含まれるベータカロテンや、トマトなどに含まれるリコピンなどがあり、キサントフィル類はマリーゴールドに含まれるルテイン、みかんに含まれるベータ-クリプトキサンチン、エビやカニに含まれるアスタキサンチンなどがあります☀✨
ヒトの体内には10種類以上のカロテノイドやその代謝物が存在していますが、合成することができないため食物から摂取する必要があります。
カロテノイドの働き
カロテノイドに共通する特徴は、抗酸化作用です!
抗酸化物質は、植物が紫外線による活性酸素から自らの身を守るため(生体防御)に生成しているもので、ヒトの体内においても、同様の抗酸化作用を発揮し、紫外線や活性酸素対策はもちろん、細胞の保護、生活習慣病対策、アンチエイジングなどの効果も期待されています。
また、カロテノイドの種類によって期待される効果が異なるため、さまざまな種類のカロテノイドをバランス良く摂取することが大切です!
主なカロテノイドの種類
ベータカロテン
ビタミンAの前駆体(プロビタミンA)であり、分解・還元されビタミンAを生成します。
ビタミンAへの変換は体内の量に依存しているため、高用量でも安全といわれています!
がん対策や黄斑変性症の予防、粘膜の健康などに重要な栄養素です。
リコピン
トマトやすいかに多く含まれている赤色の天然色素です。
内側からの紫外線ケアや血圧コントロール、コレステロールの低下などの効果が期待されています。
(詳しくはこちら:リコピンを効率よく摂取する方法/紫外線対策でも注目!リコピン)
ルテイン
植物の緑葉、⻩⾊花の花弁や果実、卵⻩などに多く含まれている天然色素です。
体内では視細胞を守っているゼアキサンチンと共に目の⻩斑部に存在し、パソコンやスマートフォンから発せられるブルーライト (⻘⾊光) から目を守る働きをしています。
ベータクリプトキサンチン
温州ミカン、ポンカン、パパイヤ、柿、赤ピーマンなどに含まれており、特に温州ミカンの果実の内果皮(アルベド)と果肉の砂のう部分に多く含まれています。
ミカンをたくさん食べ続けた時に皮膚が黄色くなる柑皮症※は、ベータクリプトキサンチンが関係しています。
※柑皮症:柑橘類を過剰に接種した際の皮膚の黄染のこと。
ミカンを食べるのをやめると色は薄くなる。
骨粗鬆症の予防や血糖値のコントロールに良いといわれています。
アスタキサンチン
アスタキサンチンは主にエビやカニなどの甲殻類、サケの身に含まれる天然色素です。
抗酸化力に優れており、アンチエイジングや生活習慣病予防効果を期待する方も多いと思いますが、近年では、スポーツのパフォーマンスをあげるといわれており、視神経機能の向上や血中乳酸濃度の低下、運動後の炎症(血清CK、AST濃度)の減少などがみられています。
カロテノイドとたばこ・お酒の関係性
肺ガンリスク者に対する、フィンランドで行われたベータカロテン(20,000μg)、トコフェロール(50mg)によるガン防止(ATBC)試験、および米国で実施されたベータカロテン(30,000μg)とレチノール(パルミチン酸レチノール25,000IU(7,500μg))効果試験(CARET)において、ベータカロテンサプリメント摂取群で、肺ガンリスクが上昇した報告があります。
しかし、たばこや過度な飲酒は相乗的に生体内の抗酸化物質を消費してしまうことがわかっており、オランダや上海、シンガポールの調査では、ベータクリプトキサンチンが、喫煙者の肺がんリスクを顕著に下げたとする研究結果もあります。
サプリメントなどの健康食品による過剰な栄養素摂取は注意が必要ですが、たばこやお酒両方の習慣を有する人では、普段の食事からより多くのカロテノイドを摂取した方が良いのかもしれません。
橋本正史 ファルマシア Vol. 52 No. 6 2016
中村丁次 栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版 2020.04.01
ゆーみん
管理栄養士