9/3(日)は「睡眠の日」!①


睡眠健康推進機構では、年に2回、春と秋に「睡眠の日」を制定しています。

今年の秋の「睡眠の日」は、9月3日(日)でした。
また、その前後の2週間(8月27日(日)~9月10日(日))は「秋の睡眠健康週間」となっています。

今回は、その「睡眠」に関する情報を2回に分けてご紹介したいと思います。


●睡眠と健康

睡眠は、食事や運動、飲酒、喫煙などの生活習慣と同様に人間の健康と深く関係しています。

近年、睡眠不足が「子供の心身の成長」や「体の健康」、「心の健康」、「高齢者のQOL」などに大きな影響を与えることが分かってきました ガーン​​​​​​​

体への影響としては、「睡眠不足が肥満、高血圧、耐糖能異常、循環器疾患、メタボリックシンドロームなどを発症する危険性を高めること」などがいくつかの縦断研究で報告されています。

睡眠の変調が食事や運動などの生活習慣の乱れを惹起すること、レプチンやグレリンなどの食欲などに作用するホルモンなどに影響を及ぼすことなどが、その要因の一つだと想定されています。

さらに、心への影響として「不眠が抑うつや不安障害の危険因子となる」ということや、「実験的に睡眠を剥奪することで、身体愁訴、不安、抑うつ、被害妄想の発生・増悪、感情調整力・建設的思考力・記憶力などの低下が生じる」ことなどが、これまでの研究で報告されています。

睡眠不足では、前頭前野や大脳辺縁系の代謝活性を低下させ、コルチゾールの分泌量を増加させることが報告されており、それらが関与していると考えられます 汗

また、睡眠不足などを要因とした居眠り運転は、他の事故に比べて死亡事故につながりやすいこと長時間の覚醒は、認知・精神運動作業能力が低下すること(17時間の覚醒で、血中アルコール濃度0.05%*と同等程度まで低下)が、介入研究での結果として報告されています。
*日本では、血中アルコール濃度0.03%以上で酒気帯び運転

●主な睡眠障害

睡眠障害の中で不眠症状はよくみられますが、不眠症と診断されるのは「夜間の睡眠困難」「睡眠環境が整っている状況下での不眠症状」「睡眠困難により日中のQOLに問題が起きていること」などが認められる場合に診断され、眠れないこと=不眠症ではありません びっくり
仕事や遊びなどで適切な時間帯に床で過ごす時間が確保できないなど、社会活動によりもたらされた睡眠の量的不足については、不眠症とは分けて、最近は断眠と呼ぶようになっています。

また、睡眠障害は不眠症だけでなく、昼間に眠くて仕方がないという症状や、睡眠中に起きる病的な運動や行動、睡眠リズムが乱れて戻せない状態など、多くの疾患が含まれます。

その中でも、代表的なものを以下にご紹介いたします。

①不眠症(精神生理性不眠、原発性不眠症)

不眠症(精神生理性不眠、原発性不眠症)は、不眠を含む睡眠障害において、最も頻度の高い不眠症状です。

この不眠症は、慢性の精神的緊張・不安と条件付けという2つの要因によって起こると考えれらています(例えば、「眠れるかどうか」と心配することで、不安や緊張を生じてしまい、余計に眠れなくなる、など)。

不眠症は他に、「薬原性不眠」「身体疾患による不眠」「精神疾患による不眠」「脳器質性疾患による不眠(認知症を含む)」などが挙げられます。


②睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome:SAS)

SASとは、睡眠中に呼吸が頻繁に止まる疾患です。
睡眠中に、無呼吸(10秒以上呼吸が停止する状態)と低呼吸(呼吸が小さく酸素が取り込みにくい)が1時間当たり5回以上認められるとSASと診断されます。
大きなイビキもこの症状の特徴です。

SASの方は、一晩中、“睡眠‐無呼吸‐覚醒‐睡眠”のサイクルを繰り返すことで、質の良い睡眠をとることが難しくなります。

また、過去約10年に発表された数多くの縦断研究では、(閉塞性)SASやイビキが、生活習慣病(高血圧、糖尿病、歯周疾患、心房細動、脳卒中、虚血性心疾患、突然死など)の発症の独立した危険因子であることが示されています。

SASは肥満者にも多くみられますが、顎が小さく、痩せた人にも多くみられます。

③むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)

むずむず脚症候群は、座っているか横になっているときに、主に太ももからふくらはぎ、足首などに不快感が生じるもので、歩いている際には症状が消失、または軽減しますが、安静状態になると悪化するといった特徴があります。

その足の不快感により不眠が生じることがあります。

日本人の2-3%に見られ、男性に比べ、女性は約1.5倍の罹患率と言われています。
高齢者だけでなく、若年者や子供にも見られることがあります


④過眠症

過眠症は、夜間に睡眠を取っているにも関わらず、日中に強い眠気が生じ、起きているのが困難になる状態です。

過眠症には主に、ナルコプレシー、特発性過眠症、反復性過眠症などがあり、どれも10代などの若い世代で発症することが多いと言われています。

その中でもナルコプレシーは、世界的に1000-2000人に1人の割合で見られ、日中の眠気の他に、「情動的脱力発作*」「睡眠麻痺*」「入眠時幻覚*」のような症状が出ると言われています。
*情動的脱力発作:びっくりしたり、感動したり、笑ったりした際に、意識はあるのに筋肉の力が抜けてしまう症状
*睡眠麻痺:一般的に「金縛り」と言われる現象で、目は覚めているのに体が動かせない状態
*入眠時幻覚:寝入りばなの夢で、現実と区別がつきにくいのでこう呼ばれる


⑤レム睡眠行動障害

レム睡眠行動障害がある方は、夢を見ている時に筋肉の緊張が無くならず、夢を見ているままに行動してしまうことがあります。

夢の内容によっては、叫び声をあげる、壁を叩く、物を投げるなどの行動があり、時には歩き回って階段から転落する、横に寝ていた人を殴る、などの大事に至るケースもあります
比較的、高齢の男性に多くみられます。


⑥概日リズム睡眠障害

概日リズム睡眠障害は、昼夜のサイクルと体内時計のリズムが合わず、自分が望む時間に睡眠を取ることが出来ず、活動に支障をきたすような睡眠障害をいいます。

比較的よくみられるのは、眠る時間と目覚める時間が一定しない「交代勤務による睡眠障害」ですが、その他に、いくら寝ようとしても眠れず、明け方などに眠ることで起きる時間に起きられない「睡眠相後退症候群」、夕方から眠くなり、早朝に目覚めてしまう「睡眠相前進症候群」、寝る時間と起きる時間が毎日1-2時間ずつ遅れていく「非24時間睡眠覚醒症候群」などがあります。

どの病態でも、起きるべき時間に起きられないことで、遅刻や欠席・欠勤などが増え、うつ病などの引き金になることがあります。

1000人に2-4人がこの疾患に罹っていると考えられています。

生活時間の変化やストレス、その他の疾患などが原因で起こることもある睡眠障害は、比較的誰でも発症する可能性があると言えます。

では、こういった睡眠障害を改善するためには、どのような生活習慣や食習慣を心掛ければよいのでしょうか?

次回「9/3(日)は「睡眠の日」!②」では、睡眠障害の改善に役立つ方法についてご紹介させていただきます ニコニコ​​​​​​​

(あ)

厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針2014(平成26年3月)
公益財団法人 精神・神経化学振興財団 睡眠健康推進機構
心と栄養を包括する科学 第9回学術集会 脳の機能と栄養
脳機能に影響を与える食品成分(静岡県立大学  横越 英彦 教授)
こころとからだの免疫学(人間総合科学大学 藤田 紘一郎)
田辺三菱製薬 Suimin.net

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