水銀について


水銀は、温度計や蛍光灯など、私たちの身近なものに使用されていますが、毒性の強い有害金属としても有名です。
今回は「水銀」について紹介します。

水銀とは

鉄や金、銀と同じ金属のひとつです。
地殻を構成する成分であり、土、空気、水すべてに微量に含まれており、
当然、生物にも微量存在し、人間には3~4mg蓄積されています。

また、水銀には主に3種類ありそれぞれ用途や取り込んだ際のからだへの影響が異なります。

●金属水銀

私たちの最も身近なところに存在する水銀が、この「金属水銀」です。
病院で見かける「水銀柱血圧計」や「水銀体温計」、自宅にあるものでは 「蛍光灯」 や、 おもちゃなどに入れてある「ボタン電池」などに使用されています。
密閉した状態だと特に危険性はないのですが、 常温でも気化する性質があるので、空気に触れると蒸発します😨
少量であれば飲み込んでも排出されますが、 気化した蒸気を吸い込むと肺から吸収され、 中毒症状を起こす恐れがあるので取扱いに注意が必要です。

●無機水銀

金属水銀と酸の反応などで得られる化合物のことを言い、自然界に一番多い水銀です。
防腐剤や試薬として使われる「塩化水銀」や、漆器や鳥居に使われる赤色塗料 (銀朱)の 原料となる「硫化水銀」も、このグループに入ります。
腸管から吸収された後、胃腸の細胞にダメージを与え、最終的に腎臓に蓄積されることで腎障害を引き起こすといわれています。
※ただし、水俣条約により現在では塗料としての用途はほとんどない

【豆知識】水俣条例とは?
水銀に関する水俣条約では、水銀の人為的排出の規制をはじめ、地球的規模での水銀汚染の防止を目的としています。
世界最大の水銀排出国である中国や、化学物質・廃棄物に関する条約をこれまで締結してこなかったアメリカを含む約140カ国が合意しています。

●有機水銀(メチル水銀)

水銀原子に炭素が結合した化合物の総称を言います。
昭和31年(1956)、熊本県で確認された「水俣病」の原因となった水銀は、この「有機水銀(メチル水銀)」に分類されます。
飲み込むと吸収スピードも早いので、摂取量が多いと脳などの中枢神経系に作用し中毒症状を起こします。


自然界の水銀の大部分は無機水銀として存在していますが、雨などの影響により河川や海に流出し、水中の微生物の働きにより有機水銀に変換されます。
このようにしてできた有機水銀は、プランクトン→小型魚類→大型魚類といった水生生物の食物連鎖によって濃縮されるため、魚介類に含まれる水銀のほとんどが有機水銀といわれています。

デトックスにおすすめな栄養素

水銀の主な摂取源は魚介類ですが、魚介類に蓄積している有機水銀はごく微量です。
しかし、日本人は欧米諸国と比べ魚介類を多く摂取するため、有機水銀を比較的多く取り込んでしまう傾向があります。

体内に蓄積された重金属をデトックスするために効果的な、栄養素について紹介します!

一般的に、水銀の毒性は細胞の酸化的障害や生理活性物質のチオール基(-SH基)をブロックすることによる障害が考えられています。
そのため、「ビタミンC」や「ビタミンE」、「セレン」などの抗酸化物質のほか、
水銀の毒性を弱めて排泄を促すチオール基を含む「α-リポ酸」「グルタチオン」、「L- システイン」、「L-メチオニン」、腸内環境を整える「有用菌」などの栄養素の摂取がおすすめです。

また、大型魚類(マグロ、カジキなど)や深海魚(キンメダイ、メバルなど)には水銀が蓄積しやすいため、これらの魚類は摂取を控え、小型魚類(サンマ、イワシ、サバなど)を選ぶようにすると良いでしょう。
日本を代表する健康食品である海藻類(ヒジキ、コンブ、ワカメなど)にも水銀が多く含まれている可能性があるため、習慣的な海藻類の大量摂取は避けることをおすすめします。

まとめ

体内にとりこまれた水銀は、蓄積し続けることはなく、少しずつ尿や便に排泄されます
しかし、一般的に半減期は70日となっているため、一度取り込まれると長い間体内にとどまることになります😱
今回紹介した栄養素を参考に、普段の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?
また、毛髪で体内の水銀蓄積量がわかる検査もあるので、気になる方は受けてみるのも良いと思います🍀

熊本県 ホームページ 水銀を使った製品の捨て方

不思議な水銀の話 翼を持った悪戯元素の秘密

環境省 国立水俣病総合研究センター 水俣病情報センター 水俣病健康相談室 水銀と健康

水俣病-その歴史と教訓-2022

イラストレイテッド ハーパー生化学 原書29版 

Mercury Study Report to Congress(US Environmental Protection Agency)

この記事の著者

ゆーみん

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス 企画開発部 / ためになる栄養講座・ブログ・お問い合わせ担当

自分自身のアレルギーと偏食がきっかけで管理栄養士を志向。大学卒業後は給食委託会社に就職し介護食からスポーツ栄養まで幅広い食に従事。

読んでいただいた皆さんに「ためになった」「面白かった」と思っていただけるようなブログづくりを心掛けています。

自己紹介ブログ ⇒ 新しいメンバーの自己紹介(管理栄養士:荒木)

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