カンジダ菌とは?


今回は、真菌感染症の原因菌のひとつで酵母の仲間である「カンジダ菌」について簡単にご紹介します💡

カンジダ菌とは?

酵母は酒造などの醸造発酵に利用される人にとって有益な微生物ですが、酵母の仲間であるカンジダ菌は時として真菌感染症のような重篤な病気の原因になることがあります😣

この重篤な真菌感染症を発症する原因菌はカンジダ菌の中でも主にCandida albicansですが、この他にCandida glabrataCandida tropicalisCandida parapsilosisCandida kruseiなど4菌種が知られています。

カンジダ菌は、環境条件や培養条件に応じて「酵母形」と「菌糸形」の2つの発育形態をもちます。

生体内では、腸管など粘膜上皮表面に共生菌として定着している場合は酵母形で存在しますが、カンジダ菌が感染した組織内では菌糸形となります。

ちなみに、酵母については下記でご紹介しています。
酵母って何?

1980年以降に有用な抗真菌薬が治療に用いられてきていますが、以下のような理由でカンジダ症の発症頻度は減少していないと言われています。

カンジダ症の発症が減少しない理由

  • 免疫力が低下した高齢者の増加
  • がん患者に対する強力な抗がん剤治療や免疫抑制剤の使用により、好中球が減少する期間が長引くこと
  • 長期間の抗菌薬の使用によって真菌感染症のリスクが増加すること
  • 血管カテーテルの汎用により体表から血液中にカンジダが流入すること
  • 抗真菌剤耐性菌の増加による原因菌の多様化

病原性を発揮するメカニズム

カンジダ菌などの微生物が生体に反応を起こさせる性質や原因物質は「病原性因子」と呼ばれます。
そして、その病原性因子は以下の3点だと言われています。

病原性因子

①生体に取りつく手段である「定着因子
②生体組織に侵入して破壊する手段である「侵襲因子
③生体の防御機構から逃れる手段である「バイオフィルム
※バイオフィルムとは、微生物の代謝産物であるタンパク質や多糖類などが菌体と複雑にからみあることによって形成される微生物の集合体のことです。

メカニズムとしては、菌体は酵素を分泌して組織を破壊して体内に侵入します。
そして定着し、増殖することで病原性を発揮するようになります。

また、カテーテルなどの医療器具の表面にバイオフィルムを形成しやすく、バイオフィルム内では菌密度が高くなっているために好中球などの防御機構から身を守っていると考えられています。

元気な状態ではカンジダが体内に侵入してきても増殖を抑えることができるのであまり問題にはなりませんが、免疫(生体防御機能)が弱るとカンジダ菌が増殖してしまうのです。

カンジダ菌に対抗するための食品成分

カンジダ症の治療には抗真菌剤を用いますが、耐性菌が増えてきていることや抗真菌剤による副作用(腎障害や低カリウム血症など)が生じることから薬物以外での対処方法が有用だと考えられます。

カンジダ菌を抑えることができると言われている食品成分は以下の通りです。

精油成分

植物精油成分の中にカンジダ菌の体内への侵入を防ぐ効果があるものがあると言われています。
例えば、ティーツリー油ゼラニウム油ドクダミ抽出液などです。

ハーブ類

クローブ、ワサビ、シナモンなどは菌糸の形成や発育を抑制します。
また、クローブの有効成分「オイゲノール」とシナモンの有効成分「シンナムアルデヒド」は殺菌作用もあるため、生育抑制だけでなく殺菌効果も期待できます。

乳酸菌

膣カンジダ症においては、膣内に共存する乳酸菌が発症の予防的に働くと言われています。
それは、乳酸菌がカンジダ菌の菌糸にくっつくことで生体への定着を防ぐことが要因だと考えられます。

その他

免疫機能が弱まるとカンジダ症が発生しやすくなるため、免疫力を回復・強化することも大切です。
粘膜での感染防御に働く成分としては「ラクトフェリン」が知られており、ラクトフェリンは好中球と共同でカンジダ菌を抑えることが分かっています。

また、カンジダ菌は炎症を引き起こす物質(PGE2)を産生するため、PGE2の産生を抑える働きのある「EPA」や「DHA」も有効だと考えられます。

腸管の状態を良くすることが大切?

最近では、カンジダ菌は腸管壁浸漏症候群リーキーガット症候群LGS)の原因だという事で注目されているようです。

確かに免疫力が落ちてカンジダ菌が増殖すると、カンジダ菌は腸管から体内に侵入しようと腸に穴を開けてLGSになってしまうかもしれません。
そのため、そういった場合にはカンジダ菌を抑えることは重要です。
しかし、そもそもカンジダ菌はもともと腸内にいる数多くの常在菌のうちのひとつでしかありません。

そのひとつの菌をやっつける事よりも、「腸の細胞」や「腸の状態を良くしてくれる有用菌(ビフィズス菌や乳酸菌など)の働きや数」を改善した方が良いように思います。

また、私たちの体において腸管などの粘膜の健康を保つのに役立っているものに免疫グロブリンAIgA)があります。
このIgAは体内で最も多く、腸管でつくられる免疫グロブリンなので、腸を守り体の免疫力を保つためにも腸管の状態を良くすることは大切です。

腸の状態を良くするためには、ビフィズス菌乳酸菌などの有用菌の他、有用菌のエサとなる水溶性食物繊維オリゴ糖、腸の細胞の栄養となるグルタミンビタミンB群、粘膜の健康に役立つビタミンA亜鉛、免疫を調節するビタミンDなどの栄養素の摂取がお勧めです。

(さ)

大日本住友製薬のHP
モダンメディア58巻9号2012
メルクマニュアル18版 日本語版
真菌誌 第50巻 第3号 平成21年

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