【論文紹介】マイクロRNAは消化されてなくなる運命


最近注目を浴びているマイクロRNA(miRNA)をご存知ですかはてなマーク

メッセンジャーRNA(mRNA)という、遺伝子からタンパク質を合成する時に働くRNAを知っている方は多いと思いますが、miRNAはあまり馴染みがないかもしれないですねあせる
miRNAとは、遺伝子発現を調節し、細胞や器官・臓器の分化だけでなく細胞のがん化などにも深く関わっている小さなRNAだと言われています。

miRNAについては、以前まとめているので是非そちらをご覧ください
マイクロRNA(miRNA)って何?

そんなmiRNAについて興味深い論文を発見しましたので、今回はその論文をご紹介しますbulb

●miRNAは消化されてなくなる運命
母乳に含まれるmiRNAは消化管で分解されて吸収されるため、体内で機能することはないようだ」という内容の、スイスのチューリッヒ工科大学の研究者らによる報告ですサゲサゲ↓

【目的】
miRNAは遺伝子発現における重要な調節因子であり、細胞から放出されて血液や尿、唾液、汗、母乳などの体液中に存在している。
実際にヒトやマウス、ブタの母乳中には免疫などに関わるmiRNAが多く存在することが分かっている。

今まで、母乳中のmiRNAと母乳を飲んだ子どもの血清中のmiRNAを測定した研究はいくつかあるが、子どもの血清中のmiRNAがもともと体内で作られたものか、外から取り入れられたものかどうかの区別はついていないため、母乳由来のmiRNAが本当に子どもの体内に取り込まれるかどうかは不明である。

そこで、生まれたばかりのマウス(新生マウス)におけるmiRNAの腸の取り込みについて調べる

【方法】
母乳中に高濃度で含まれるmiRNA-375とmiRNA-200cをそれぞれ欠損させたマウスを用いて、母乳由来のmiRNAの取り込みについて調べる。

miRNA-375
膵臓に特異的に発現しているmiRNAとして発見されたが、インスリン分泌およびα細胞やβ細胞形成の調節因子、癌抑制、免疫に働くと言われている。

miRNA-200c
典型的な上皮のmiRNAでmiRNA-200ファミリーのひとつ。
がんの転移に関わっていると考えられている。

【結果】
・授乳開始2日、8日、14日のマウスの母乳を調べたところ、最大で635、平均で506のmiRNAが見つかった。

miRNA-375とmiRNA-200cがそれぞれ欠損した母乳を与えられた新生マウスの胃から採った母乳を調べてみたところ、母乳に含まれていないmiRNA-375とmiRNA-200cがみつかった

miRNA-375が欠損した母乳を飲んだ新生マウスからは体内(腸上皮、血清、肝臓、脾臓)でmiRNA-375が検出されたが、miRNA-375を含む母乳を与えられたmiRNA-375欠損マウスの体内からはmiRNA-375が検出されなかった

・体内と同じ条件で2時間母乳と消化液を混ぜたところ、母乳中のmiRNA-375は10%未満にまで分解された。

【まとめ】
母乳中のmiRNAは、消化管で分解されて子どもの組織や血液中に取り込まれていない可能性が高く、母乳由来のmiRNAが子どもの遺伝子調節をすることは考えにくい

<論文要旨>
http://www.jbc.org/content/early/2015/08/03/jbc.M115.676734.abstract

2016061550

この論文では、授乳開始14日目のマウスにおいて体内のmiRNAを測定しているため、もしかすると生まれたばかりで腸管バリア機能が十分に発達していない時は母乳中のmiRNAは子どもの体内に吸収されて働く可能性はあるかもしれないですねbulb

しかし、もし外から取り入れたmiRNAが体内に吸収されないというこの論文の内容が本当であれば、miRNAそのものを摂るよりも体内でmiRNAの発現量を調節するような成分を摂る方が効果的だと考えられますblush

そういった成分は、例えばプテロスチルベンが知られており、プテロスチルベンはがんに関わるmiRNAをがん抑制的に発現させることが分かっていますキラキラ

プテロスチルベンとmiRNAについては以前のブログでまとめていますので参考にしてみてください
マイクロRNA(miRNA)とプテロスチルベン

まだまだ謎が多いmiRNAですが、もっと研究が進んで色々と分かってくることを期待していますにこにこ

 

(さ)

 

<参考>
・https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/communities-social/NEXT-Forum/Interview/interview-vol8.html
・熊本大学学術リポジトリ(http://reposit.lib.kumamoto-u.ac.jp/bitstream/2298/25202/1/22-1833.pdf)
・http://www.google.com/patents/WO2011007815A1?cl=ja

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