【論文紹介】ビタミンDで乳児の筋肉量アップ


前回は、乳児期にピーナッツを食べることでピーナッツアレルギーになりにくくなるという内容の論文をご紹介しました
→【論文紹介】幼児期のピーナッツ摂取で持続的なアレルギー対策

今回は乳児に関連して、「ビタミンDを摂ることで乳児の筋肉量がアップする」という内容の論文をご紹介したいと思います電気

ビタミンDの摂取量が多い乳児は筋肉量が多い

生後1年間にビタミンDを摂取した乳児は体脂肪が少なく筋肉が多いようだ」という内容のカナダにあるマギル大学からの研究報告ですサゲサゲ↓

目的

幼児や思春期、青年期などでは血液中のビタミンD[25(OH)D3]濃度が高いと体脂肪が少ないということが知られている。
しかし、乳児においてビタミンD濃度と体脂肪量が相関するのかは分かっていない。

そこで乳児にビタミンDを与え、3歳になった時に体組成がどのように変化するのかを調べる

体内のビタミンDの状態は血液中の25(OH)D3濃度が最も正確に反映していると言われている。
一般的なビタミンDの血液検査は1,25(OH)2D3という活性型ビタミンDを測定しており、活性型ビタミンD濃度は体内のビタミンDの状態をあまり反映していない。

対象

カナダのケベック州にあるモントリオールに住む生後1か月の132名の健康的な赤ちゃん

方法

生後1か月の乳児を4つのグループに分け、1日400、800、1,200、1,600IUのいずれかのビタミンDを11か月間(生後12か月まで)与え、3歳の時点での体組成や血中ビタミンD濃度などを測定した二重盲検無作為化比較試験

生後12か月以降は、食べ物やサプリメントでビタミンDの1日の推奨量である400IUを子供が摂れるように、すべての家族に同じ短期間の教育を受けてもらった。

※IUとは
体内での効力を示す国際単位のこと。
ビタミンD:1μg=40IU

結果

・生後1か月から36か月にかけて血液中のビタミンD濃度は、ビタミンDを400IUと800IU与えた子供よりも1,200IU与えた子供の方で高かった

・全てのグループで血中のビタミンD濃度は生後1~3か月の間に急激に上昇してピークを迎え、その後は減少した。

ビタミンDの血中濃度が75nmol/L(30ng/mL)以上の子供は、それ未満の子供よりも体脂肪量が有意に少なかった

週末の身体活動量がとても多い子供は、あまり活動的に動かない子供と比較して体脂肪量と体脂肪率が有意に低かった

考察

乳児期にビタミンDを補給することで骨の発達が助けられるだけでなく、脂肪を減らして筋肉を増やす可能性がある。

<論文要旨>
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ijpo.12105/abstract

まとめ

今までの研究では大人に着目してビタミンDの効果を調べていることが多かったですが、赤ちゃんの体脂肪を多くしないようにするためにもビタミンDが体内に十分ある事も大切なんですねビックリマーク

ちなみに、この研究の前に行われた研究では、1日1200IUのビタミンDを与えられた子供は生後12か月の時点で69%が血中のビタミンD濃度が75nmol/L(30ng/mL)に達していたのに対し、400IUの子供では38%しかいなかったそうですびっくり

赤ちゃんの血液中のビタミンD濃度を筋肉を増やすのに十分な量(75nmol/L)まで上げるためには、1200IUを目安に与えるのが良いかもしれないですね音譜
赤ちゃんにサプリメントなどでビタミンDを与えるのに抵抗がある方は、赤ちゃんを日光に当ててあげるのがお勧めです晴れ

大人の場合ですが、紫外線量の多い7月の正午に日焼け止めを塗らないで顔と両手の甲を日光に当てると札幌、つくば、那覇でそれぞれ、4.6分、3.5分、2.9分5.5μgのビタミンDが合成されるそうですグッド!
そのため、1200IUを合成するためには7月の正午では札幌、つくば、那覇でそれぞれ約25分、19分、16分間、顔と両手の甲に日光を当てる必要があります!!
時間帯や季節によってはもっと長い時間日光に当たらないといけません汗

以上より、サプリメントなどでビタミンDを赤ちゃんに与えずに体内で十分な量のビタミンDを合成するためには、赤ちゃんに日焼け止めを塗らずに日中にお散歩をしてあげるのが良さそうですにこにこ

(さ)

リンク・デ・ダイエット
 http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=54260&-lay=lay&-Find
Am J Clin Nutr. 2004 Sep;80(3):752-8.
J Clin Endocrinol Metab. 2003 Dec;88(12):5766-72.
J Clin Endocrinol Metab. 2007 Jun;92(6):2058-65.
JAMA. 2013 May 1;309(17):1785-92.
国立環境研究所サイト
 https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html

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