カシス(ブラックカラント)の健康効果について


カシスとは、ビタミンやミネラル、アントシアニンなどが豊富に含まれた栄養価の高い果実です。
サプリメントの原料としても注目を浴びており健康効果が期待できるといわれているため、今回は「カシス(ブラックカラント)の健康効果」について紹介します🍇!

カシス(ブラックカラント)とは

カシスは、ブルーベリーやラズベリーなどのベリーの一種で、「カシス」は仏名、「ブラックカラント」は英名、日本では「くろすぐり」というそうです🤭!
果皮は黒に近い濃い紫色ですが、中の果肉は透明感のある黄緑色で、ゴマのような小さな種がいくつも入っています。
小さい果実ではありますが、ビタミンA・ビタミンE・ビタミンCなど栄養素が豊富で、果皮にはアントシアニンというポリフェノールが含まれています☀
抗酸化力の高い栄養素を持つため、カシスはサビ(活性酸素)の除去や、アンチエイジングに効果が期待できます!

生のままでは傷みが早く、数日程度しかいい状態で置いておくことができないため、冷凍品や加工食品が多いです💦

カシスの健康効果

緑内障の改善

正常眼圧緑内障患者30名を対象に、カシスアントシアニン錠 (アントシアニン 50mg 含有) を6ヶ月間摂取し、血圧や眼圧、血中エンドセリン-1濃度※、視神経乳頭および乳頭周囲網膜の血流量、視野障害の程度について比較しました。
結果、カシスアントシアニン錠の摂取により、血圧および眼圧には有意な差はみられませんでしたが、視神経乳頭および乳頭周囲網膜の血流量は有意に増加し、血中エン ドセリン-1濃度は有意に増加または正常化されました
カシスアントシアニンは、正常眼圧緑内障患者にとって安全かつ神経保護治療の有力な選択肢に成り得る可能性が示唆されています。
※血中エンドセリン-1濃度:血管障害などの病態のマーカー

認知機能の維持

健康成人女性7名を対象とし、カシスポリフェノール(アントシアニン 50mg 含有)の 8日間連続摂取による認知機能(注意・集中力)への影響について、脳波やアンケートなどを用いて検証しました。
結果、カシスポリフェノール摂取により、Fzθ波(覚醒中脳波)の平均パワー積分比率が有意に増加し、VAS の頭の覚醒(集中度)上昇、POMS(心理テスト) の「緊張~不安」減少など自覚においても有意差が得られました。
カシスポリフェノールの連続摂取(8 日間)は、認知機能(注意・集中力)が高まる可能性が示唆されました。

肩こりの改善

11名の健常者をカシスポリフェノール摂取(カシスポリフェノール7.7 mg含有)群とプラセボ群に分け、30分間断続的なタイピング作業を行い、ワークロード中に総ヘモグロビンや酸素化ヘモグロビン、筋電図を評価しました。
カシスポリフェノール摂取により、タイピングパフォーマンスの改善はありませんでしたが、酸素化ヘモグロビンの減少が大幅に改善し、作業後の筋肉のこわばりを軽減しました。
酸素化ヘモグロビンが維持され、筋肉の疲労を軽減することにより、タイピング作業によって引き起こされる肩こりを改善する可能性があることを示唆しています。

抗ウイルスおよび抗菌作用

呼吸器合胞体ウイルス (RSV)、インフルエンザウイルス A および B (IFV-A ・IFV-B)、アデノウイルス (AdV)、単純ヘルペスウイルス 1 型(HSV-1 )、インフルエンザ菌B型、肺炎連鎖球菌、ミュータンス連鎖球菌を用いて、カシス抽出物の抗ウイルスおよび抗菌作用について調査しました。
結果、ミュータンス連鎖球菌には効果を示さなかったものの、カシス抽出物の濃度が1% 未満の場合、RSV、IFV-A、IFV-B、および HSV-1 の複製が 50% 以上抑制され、10% の抽出物はこれらのウイルスの細胞表面への吸着※を 95% 以上抑制しました。
AdV への影響はそれほど顕著ではありませんでしたが、10% 濃度の抽出物は細胞表面への AdV 吸着を 阻害しました。
※細胞表面への吸着:ウイルスが結合する過程のことを”吸着”と呼び、この”吸着”を阻害することが抗ウイルスおよび抗菌作用につながると考えられています。

まとめ

カシスは古代からヨーロッパの山奥などに生育しており、1712年にはフランスのモンタラン神父がカシスに関する本「’Les Proprietes Admirables du Cassis’ (カシスの驚異)」を出版し、『カシスの絞り汁は万病に効く秘薬であり、若返り(不老不死)にも効果がある』と紹介しました。
日本では生のカシスを入手することは難しいですが、飲料やお菓子・サプリメントなど幅広い食品に使用されているため、気になる方は普段の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか??

 

日本ブラックカラント協会HP

一般社団法人日本カシス協会HP

旬の食材百科

Ikuyo Ohguroll  et al., 弘前医学 59 巻 (2007-2008) 1 号 23-32

倉重恵子 et al.,日本健康開発雑誌 November 24, 2020

Hitoshi Matsumoto et al., Eur J Appl Physiol. 2005 May;94(1-2):36-45.

Kazufumi Ikuta et al., Microbiol Immunol. 2012 Dec;56(12):805-9

 

この記事の著者

ゆーみん

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス 企画開発部 / ためになる栄養講座・ブログ・お問い合わせ担当

自分自身のアレルギーと偏食がきっかけで管理栄養士を志向。大学卒業後は給食委託会社に就職し介護食からスポーツ栄養まで幅広い食に従事。

読んでいただいた皆さんに「ためになった」「面白かった」と思っていただけるようなブログづくりを心掛けています。

自己紹介ブログ ⇒ 新しいメンバーの自己紹介(管理栄養士:荒木)

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