男性肌の特徴とスキンケア


2020年のweb調査によると、20~30代の若者の約6割が「美容に興味がある」と回答しています。
しかし、男性のスキンケアに対する意識は依然として低く、その結果肌トラブルを招いていることも少なくないようです。

スキンケアは、正しい方法で始めないと肌にダメージを与えたり逆効果になることがあります🧐
今回は、男性肌の特徴とそれに適したスキンケア方法についてご紹介します📢✨

男性肌の特徴

男性に適したスキンケアを理解するには、女性と男性の肌の違いについて知ることが大切です。
25歳から40歳の健常な日本人男性38名、女性18名を対象として肌測定調査を行った研究では、以下のように報告されています。(日本香粧品学会誌 Vol.45,No.3,pp.185-190 2021)

 乾燥・バリア機能

POINT
● 水分量の平均値は、女性の約2/3と乾燥しやすい
● 頬と目まわりの水分蒸散量も男性のほうが多く、角層のバリア機能が低い傾向

出典:日本香粧品学会誌 Vol.45,No.3,pp.185-190 2021 (作者一部改変)

乾燥によるバリア機能の低下は、細菌やウイルスに対する肌の抵抗力に影響します。
また、肌の弾力が失われ、ハリやツヤの低下にも繋がります。

皮脂量

POINT
● 頬部とTゾーンといわれる前額部の皮脂分泌量が多い

男性の肌が女性よりもテカリやすいのは、男性ホルモンのテストステロンが皮脂腺を発達させるためといわれています。
男性ホルモンが多い10代はニキビなどの原因になったり、ホルモンが減り始める30代からは皮脂が不足して肌が乾燥しがちになり開いたままの毛穴がより目立ちやすくなります。

肌のハリ(弾性)

POINT
● 頬部の粘弾性パラメータ(Ua/UfとUr/Uf)は、肌の弾性(ハリ)は男性のほうが少ない

肌の弾力はコラーゲンやエラスチンなどの真皮マトリックスによって維持されています。
これらは、光老化や自然老化によって分解・編成して機能が徐々に失われ、結果として肌の弾力が失われることが知られています。
男性は女性に比べてサンケアの習慣が少ないことから、紫外線による光老化の影響を受けやすいと考えられます。

抗酸化力

POINT
● SODIタンパク質量は女性の半分以下(男性:105ng/mg、女性:222ng/mg)
  → 男性の頬部では抗酸化力が女性よりも低い

抗酸化力が低いと紫外線による影響を受けやすくなります。
紫外線は、肌表面の炎症や光老化の原因となるため、日頃の対策をおすすめします。

慢性的な炎症

POINT
● 肌の慢性炎症の指標となるIL-1aおよびIL-1raの測定では、男性は有意に比率が高い
 → 慢性的な炎症が起きている

男性はひげ剃り習慣があり、肌の保護の役割をする角質層の表面を削り、肌の水分を失いやすいです。
摩擦は大きな負担となり、乾燥や肌荒れにもつながります。

男性肌の特徴に合ったスキンケア

男性肌の特徴を考慮して、ケアしたいポイントは以下の3点です。

水分量・バリア機能・皮脂のバランスを整える
紫外線を予防するサンケア
抗酸化ケア

男性肌の特徴が考慮された「油分が少なく、保湿が十分な化粧品」を使うことがおすすめです。

① 水分量・バリア機能・皮脂のバランスを整える

やさしくていねいに洗顔する

クレンジングと洗顔の違い

クレンジング:メイクや日焼け止めなど「油性」汚れを落とす
洗顔:古い角質や毛穴汚れなどの「水性」汚れを落とす

クレンジング
メイクや日焼け止めを使用した時はもちろん、ていねいなお手入れとして週1~2回の使用もおすすめです。
外出や活動で、肌には多くの皮脂汚れが付着します。
男性肌は皮脂分泌が多いため、過剰な皮脂はニキビや肌あれの原因となります。

油分の多い汚れは、洗顔フォーム(水性)では落としきれません。
皮脂汚れを取り除くことで、化粧水が浸透しやすくなり保湿効果が高まります。

 

洗顔フォーム
毛穴が詰まると、ニキビや肌荒れなどのトラブルの原因となります。
たっぷりのきめ細かい泡で洗うことで、毛穴に詰まった汚れを洗い流すことができます。

また、汚れや皮脂が除去されることで、新陳代謝が活発になります。
健康的で清潔な肌を維持する基本は、やさしくていねいに洗顔を行うことです。

 

たっぷり保湿・うるおいを閉じ込める

化粧水
乾燥を防ぐため、洗顔後すぐに化粧水で保湿します。
ひげ剃りも肌の大きな刺激となるため、化粧水で肌を落ち着かせることが大切です。

洗顔後、ひげ剃り後に「乾いてる?」・・・と感じたら、乾き始めのサインです!
一瞬でも乾かさないように、すぐに化粧水でたっぷり保湿しましょう。

 


乳液・クリーム
洗顔後、化粧水だけでは、肌内部の水分が蒸発してしまいます。
乳液やクリームでフタをして、バリア機能を高めましょう。

バリア機能が高まると、外部刺激にも抵抗力が生まれます。
また、きちんと保湿された肌は柔軟で弾力があり、ツヤやハリがでてきます。

 

② 紫外線を予防するサンケア

紫外線の種類

UV-A波・・・肌の奥深く(真皮)まで届いて、光老化によるシワやたるみの原因となる
       冬の時期やくもりの日、窓ガラスも透過するため、一年中予防する必要がある

UVーB波・・・肌表面(表皮)に赤く、ヒリヒリするなど炎症を引き起こす
       夏の炎天下では、短時間でもダメージが大きい

くわしくはこちら:ヘルシーパスブログ『うっかり日焼けにご用心!』

最近では、男性用に考えられた日焼け止め効果のあるスキンケアアイテムも登場しています。
どの商品が合うかは個人差があるため、テクスチャーや塗った後の使用感などご自身に合ったものをお選びください。

➂ 抗酸化ケア

男性肌は、紫外線や大気汚染などの環境ストレスやひげ剃り習慣による慢性的な炎症などのトラブルを抱えています。
抗酸化成分(ビタミンⅭ、ビタミンE、コエンザイムQ10など)を含むスキンケア製品を使用したり、食べ物で抗酸化作用のある栄養素を摂取してみてはいかがでしょうか。
これらの方法を日常的に取り入れることで、健康で若々しい状態を維持することに繋がります。

まとめ

健やかでツヤのある肌は、身だしなみの一つと考えられています。
「できることから始めてみよう♪」という気軽な気持ちで始めてみてはいかがでしょうか?
朝晩のスキンケアをコツコツ続けてみると、2ヶ月くらいで変化を感じることができるかもしれません✨

日本香粧品学会誌 Vol. 45, No. 2, pp. 97–105 2021

この記事の著者

はっしー

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス 企画開発部 / ブログ・ニュースレター・お問い合わせ担当

ドラッグストアと食品スーパーを展開する企業の販売促進室で管理栄養士&美容アドバイザーに従事。
健康と食をつなぐ情報の発信・社内教育・栄養相談会・美容接客を通じて、体内外へのアプローチを探求。
現在は、中高生3人の母として思春期の食事づくりに奮闘中。

多くの情報があふれる中、みなさまがご自身の健康とQOLの維持・向上のためにより良い「選択」をしていただけるよう、お役に立つ情報を発信していきたいと思っています。

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