最近話題の「新しい検査方法」のご紹介


身体の状態を調べる検査の中には、比較的簡易に出来る検査と、コストや身体への負担などが大きく、なかなか一般に浸透しない検査など様々なものがあります。

今回は、新しい技術や従来の技術の応用などから開発された検査についていくつかご紹介いたします。

 

●わずかな血液量でアルツハイマー病を簡単に検査

現在、アルツハイマー病のもっとも初期の病理学的特徴は、脳における「アミロイド-β」沈着だと言われています。

そのアミロイド-βを同定するために有効とされているのは、「アミロイド-β陽電子放射断層撮影法(PET)」と「アミロイド-βの測定(脊髄液中)」です。

しかし、これらの検査は費用の負担が高額だったり、脳脊髄液を採取する必要があったりと、検査自体の負担が大きいことから一般的に普及するのが難しい検査と言われています ショボーン

そのため、簡易で安価な検査法が確立されることが望まれていました。

今回ご紹介する検査法では、今まで難しいと言われていた血液中の微量なアミロイド-βを質量分析と組み合わせることにより、測定できるようになったと報告されています。
この検査では、コストの負担が少なく、身体への負担も少ないことから、対象者を拡げたスクリーニング検査として行うことができる可能性も示唆されています。

アミロイド-βの脳内蓄積は発症の20年以上前に始まると言われており、より早い段階で発見できることで、進行の予防や発症前診断、治療法の確立に対しても期待されています キラキラ

●簡易ながん診断法

千葉県がんセンター研究所からの「血清中の微量元素17種類を測定することで、がんを90%近い確率で診断できる方法を発見した」 という研究報告です キョロキョロ

これは、年齢と血清中に含まれる17元素の濃度(「Na(ナトリウム)」「Mg(マグネシウム)」「P(リン)」「S(イオウ)」「K(カリウム)」「Ca (カルシウム)」「Fe (鉄)」「Cu( 銅)」「Zn(亜鉛)」「Se (セレン)」「Rb (ルビジウム)」「Sr (ストロンチウム)」「As (ヒ素)」 「Mo(モリブデン)」「Cs(セシウム)」「Co (コバルト) 」「Ag (銀)」)をもとに測定する方法で、5種類のがん(膵臓がん、大腸がん、前立腺がん、乳がん、子宮体がん)については高い的中率があったことが報告されています。

さらに3種類のがん(胃がん、肺がん、卵巣がん)についても同様に診断できるかを検討しているそうです。

●人工知能で胃がんの早期発見

人工知能(AI)を用いた画像解析の飛躍的な進歩により、熟練の内視鏡専門医に匹敵するような精度で胃がんを発見することができるようになった、という報告です びっくり

これは「がん研究会 有明病院」などの研究部グループが共同で行った研究で、77病変中71病変(92.2%)の胃がんの検出と、6㎜以上の病変を71病変中70病変(98.6%)の検出に成功したことが報告されています。

●腎機能低下の早期発見につながるバイオマーカー

聖マリアンナ医科大学や京都大学大学院などの研究から発見された方法です。

現在、腎機能低下のバイオマーカーとしては、「尿中アルブミン」が広く使用されています。
しかし最近になって、尿中アルブミンが出ていなくても腎機能低下が進行する症例が珍しくないことがわかってきました。

そういった症例では、糸球体硬化や結節性病変よりも尿細管間質や血管の障害が主体であることから、尿細管障害を反映するマーカーを調べる方法を模索し、尿細管障害が生じるメカニズムに着目したそうです。

その研究の結果、アルブミンに結合した脂肪酸が尿細管障害を惹起する主要なファクターであることが見出されたということです。

それをもとに今回発表されたのは、アルブミンに結合した脂肪酸の処理に関わるタンパクである「L-FABP(肝臓型脂肪酸結合タンパク)」を測定する方法です。

L-FABPは腎内微小循環障害を反映し、尿中アルブミンより糖尿病性腎症進行リスクの予測に優れていることが報告されており、また両者を測定するとその予測能が相加的に高まるという点で「腎症のハイリスク患者」をいち早く発見できることが期待されています。

 

●大切なのは「早期発見」と「予防する意識」

今回ご紹介した検査法は、研究段階のものもあり、まだまだ身近に受けられる検査ではありません アセアセ

また、ご紹介した検査方法以外にも、様々な新しい検査方法が研究されています。

検査方法もどんどん進歩していることから、疾患については「治療」はもちろん、「(超)早期での発見」もしくは「予防」を求められる時代となってきていると思います。

毎日の生活習慣の中で意識出来ることはありますが、栄養素としても、意識して摂取することでがんや認知症の「予防」や「発症リスクの低下」が期待できるものが報告されています。

表:がん、認知症のリスク低下と栄養素

定期的に「検査」を受けて身体の状態をチェックするとともに、生活習慣、食事内容の見直しなど「予防」についても意識していただくことをおすすめいたします ウインク

(管理栄養士 あ)

nature High performance plasma amyloid-β biomarkers for Alzheimer’s disease
簡易ながん診断法の開発
人工知能(AI)で「胃がん」を早期発見
保健リソースガイド 日本発のバイオマーカー 尿中L-FABPを活用した腎疾患管理

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