妊娠中の女性の食事パターンは早産に関連していることが知られていますが、発酵食品が早産を予防できるのではないかと今注目を浴びています👨👶👩
今回は『発酵食品と早産予防』について紹介します。
早産とは
国による医療技術の違いにより多少違いがありますが、日本では妊娠22週から37週未満の分娩のことを早産と言います!
また、早産で低体重児の場合は長期間の新生児医療が必要となり、早く生まれた赤ちゃんほど後で重篤な障害が出現する可能性が高くなるため、生命に関わることもあります😨💦
日本の早産率は約5%と、他の先進国と比較しても低いですが、ほかの先進国では早産が増加傾向にあるそうです・・・。
発酵食品と早産の研究
早産の主な原因のひとつに細菌感染があげられ、早産となった赤ちゃんの卵膜や胎盤には細菌感染の影響と母体の免疫力が関係していると考えられています😰🦠
一方、ヨーグルトや納豆などの発酵食品に含まれる乳酸菌、納豆菌などはプロバイオティクスと呼ばれ、腸内環境を整えて健康増進によい影響をもたらすこと、免疫力を高めて細菌やウイルスに対する予防効果を示すものがあることが知られています。
環境省の主導で2010年に開始された大規模かつ長期の研究である「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査※)」のデータを用いて、プロバイオティクスを含む発酵食品の摂取と早産リスクとの関連を検討した論文を紹介します。
※エコチル調査:赤ちゃんがお母さんのお腹にいる時から13歳になるまで、定期的に健康状態を確認し、環境要因が子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えるのかを明らかにする調査
方法
エコチル調査の参加者から早産のリスクが高い女性を除いた7万7,667人を対象とし、食物摂取頻度調査票を用いて妊娠前の発酵食品①みそ汁②ヨーグルト③納豆−の摂取頻度を評価し、早産との関連を検証した。
結果
妊娠前にみそ汁を食べる頻度が「週1日以下」と答えた女性を1とした場合の早期早産のリスクは、「週1〜2日」で0.58、「週3〜4日」で0.69、「週5日以上」で0.62と、いずれも統計学的に有意に早期早産になりにくい(リスクが低下している)ことが分かった。
同様に、①ヨーグルトを食べる頻度が「ほとんどない」女性を1とすると、「週1〜4回」で0.83、「週5回以上」で0.62と「週5回以上」で有意にリスクが低く、
②納豆を食べる頻度が「ほとんどない」女性を1とすると、「週1〜2回」で0.89、「週3回以上」で0.60と「週3回以上」で有意にリスクが低下していた。
これらの結果について、研究グループは「今回、妊娠前にみそ汁やヨーグルト、納豆を食べるように心がけている女性では、早産のリスクが低下することを世界で初めて明らかにした。特に日本食の定番であるみそ汁は、週に1日という頻度でもリスクが低くなる傾向が認められた」とまとめています☝🧐
また、今回の研究では、妊娠34週〜36週で生まれる後期早産には効果が見られなかったとされていますが、ノルウェーの国民調査から、「妊娠初期」に発酵乳飲料をたくさん摂取した女性が、後期早産が少なかったとの報告もあるため、妊娠前〜妊娠初期にかけて積極的に発酵食品(プロバイオティクス)を摂取した方が良いと考えられます🥛✨
まとめ
今回、発酵食品と早産予防について紹介しましたが、
妊娠前の乳酸菌摂取は早産予防のほかにも、妊娠中の便秘改善や乳児のアトピー性疾患・アレルギー疾患予防につながると期待されています。
妊娠してから食生活を変えるのはとても難しいです。
妊娠前から意識して摂るようにしてみてはいかがでしょうか?
また、みその過剰摂取は高血圧との関連も指摘されているので、飲みすぎには注意して下さいね💦
Hannah Blencowe et al., Lancet. 2012 Jun 9;379(9832):2162-72.
Mika Ito et al., Environmental Health and Preventive Medicine volume 24, Article number: 25 (2019)
Peter J. Vuillermin et al. Nature Communications volume 11, Article number: 1452 (2020)
ゆーみん
管理栄養士