
サプリメントに配合される栄養素にはビタミンやミネラルなどの基本的な栄養素をはじめとして、食品に含まれる独自の成分や医薬品としても用いられる成分まで様々です。
中でも、今回は「日本でサプリメントに使えない原料」についてご紹介します!
日本では使えない栄養素原料が多い?
海外と比較すると、日本の規制は厳しいため、同じサプリメントでも使えない成分は多くあります。
特にホルモンに影響を与えるものや、体の中で働きやすい活性型栄養素などは「からだに良い」といわれているものも多いですが、日本では基本的にサプリメントに使えません。
現在では越境ECサイトを利用して海外のサプリメントを購入できる時代ですが、日本と異なる原料表示の問題や添加物、副作用等のリスクを無視できないため、安易な個人輸入には注意が必要と言えます。
日本でサプリメントに使えない原料
実際に、日本で使えないサプリメント原料について4つ紹介します🧐
DHEA
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は副腎で作られるホルモンの源として存在する天然のステロイド系ホルモンであり、「若さと活力」に関連するホルモンとされています。
(詳しくは:DHEAって何?)
DHEAは20歳前後でピークに達しその後は、徐々に減少する傾向があります。(柳瀬敏彦 日本抗加齢医学会専門医・指導士認定委員会 アンチエイジング医学の基礎と臨床.第3版 p108 図)
DHEAには筋力増強作用があるとも言われており、実際に虚弱な年配女性にDHEAを50mg/日摂取させて運動と組み合わせたところ、下肢機能のスコアに改善がみられたことが報告されています。
少量の摂取でも効果が期待できるため、国際オリンピック委員会では筋肉増強剤のひとつとして、ドーピング薬物の対象としています。
活力や筋力に影響するDHEAは、スポーツをする方やアンチエイジングにピッタリですが、日本においてはサプリメントの原料として使えないだけでなく、2019年より個人輸入についても規制されています。
メラトニン
メラトニンは脳の松果体で合成されるホルモンです。
「睡眠ホルモン」とも呼ばれており、分泌されなくなると、夜眠れない・朝起きられないなど睡眠サイクルの乱れがおこります。
(詳しくは:メラトニンについて)
日本においては「専ら医薬品」に分類されている原材料で、サプリメントには使えません。
海外では医薬品やサプリメントに用いられていますが、摂取後に頭痛、めまい、眠気、悪夢、神経症状、胃腸症状等の有害事象が報告されています。
メラトニンはDHEAとは異なり、個人輸入が可能ですが、摂取する際は主治医の指示のもと摂取するようにしましょう。
消化酵素
酵素は人間や動物、植物などすべての生き物が生きていくうえで必要な、消化・吸収・代謝などの化学反応を促進するものです。
特に栄養素を体内へ吸収するには「消化酵素」が重要なはたらきを持ち、タンパク質ならプロテアーゼ、脂質ならリパーゼ、糖質ならアミラーゼなどの消化酵素がはたらきます。
問い合わせでもよく医師から「消化酵素サプリメントはないですか?」と聞かれることがありますが、プロテアーゼなどの消化酵素は医薬品成分のひとつであり、残念ながらサプリメントの素材として使うことはできません。
その代わり、食品にもともと含まれている消化酵素(パイナップル粉末(ブロメライン)、穀物の発酵エキス等)を利用したサプリメントなどの健康食品は存在しており、酵素ダイエットと称して一大ブームを築いた時期もありました。
活性型ビタミンD
ビタミンDは食事だけでなく、日光(紫外線)の照射でも体内合成されるビタミンであり、カルシウムとリンの恒常性維持や骨代謝、免疫力の維持などに関わっています。
食品やサプリメントに含まれるものは非活性型であり、肝臓と腎臓を経て活性型ビタミンDに変化します。
活性型ビタミンDは日本において医薬品として使われている原材料で、サプリメントには使えません。
海外では医薬品やサプリメントに用いられていますが、高カルシウム血症など副作用を起こす可能性があります。
ゆーみん
管理栄養士