腸内細菌のさらなる可能性


腸は「第2の脳」ともいわれており、さまざまな研究が進められています🧠🧐
今回は『腸内細菌のさらなる可能性』について紹介します!

おさらい「腸内細菌」って何??

ヒトの腸管、主に大腸には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しています🦠
ヒトの腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌、そのどちらでもない中間の菌と大きく3つのグループで構成されており、これらの菌は互いに密接な関係を持ち、複雑にバランスをとって腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いています。
この状態は、品種ごとに並んで咲くお花畑(flora)にみえることから「腸内フローラ」とも呼ばれています。
腸内細菌の種類は個人によって極めて多様で、食事、ライフスタイル、遺伝、抗生物質などによっても異なるとされています!

腸内細菌にはタイプがあるってホント?

ヒトは固有の腸内細菌をもっていますが、風土や食生活などの生活環境・条件が近い場合は腸内細菌が類似することが知られています。
日本人は和食という独自の食文化があることから海外と比べ、ビフィズス菌やブラウチア等が優勢であることや、古細菌※が少なく炭水化物やアミノ酸代謝の機能が豊富であること、細胞運動性や複製・修復機能が少ないなどの特徴があります。
このような腸内細菌の違いに着目し、腸内細菌叢を血液型のように型(タイプ)に分ける試みが欧米を中心に行われ、2011年には、ヒトの腸内細菌は3~5つのタイプに分けられることが報告されました。
また、腸内細菌のタイプを「エンテロタイプ」と呼ぶことも併せて提案されています。
※古細菌:生物の主要な系統の1つ。代表例はメタン菌や高度好塩菌、高度好熱菌など。

【バクテロイデス属の多いB(B1・B2)タイプ】

動物性タンパク質、アミノ酸、飽和脂肪酸摂取に特徴づけられる肉食を中心とした欧米型の食事を反映した腸内細菌のタイプ。
バクテロイデス属は脂肪細胞への脂肪取り込みの抑制作用や筋肉での脂肪燃焼を刺激する作用を通して肥満を抑制することが明らかになっています。
近年ではバクテロイデス属の中でもB1・B2タイプと2種類に分類することもあるようです。

【プレボテラ属の多いPタイプ】

炭水化物や糖質摂取と関連し、いわゆる農業国の食事を反映した腸内細菌のタイプ。
プレボテラ属は食物繊維の分解作用が強く、食物繊維を主とする食習慣がある東南アジア人の腸内細菌叢に多いとされています。
また、心血管疾患の発生リスクを増大させるトリメチルアミン N オキシド(TMAO)値を上昇させる作用が報告されています。

【ルミノコッカス属の多いRタイプ】

食習慣との関連は明らかになっていませんが、肥満の人の腸内細菌にはルミノコッカス属が増加し、肥満を抑制するバクテロイデス属が減少しているのではないかと考えられています。
ルミノコッカス属は糖質の吸収と脂肪の蓄積を促進し、脳梗塞や心筋梗塞などのリスク上昇をまねくと言われています。

【ビフィドバクテリウム属の多いBifタイプ】

ビフィズス菌に代表される「ビフィドバクテリウム属」の平均占有率が約20%と、顕著に高い腸内細菌タイプ。
炎症性腸疾患(IBD)と機能性胃腸障害の発症率が非常に高いという報告があります。

海外の論文では、Bifタイプを除いた、上述の3つまたは4つのエンテロタイプがあると考えられていました。
しかし、日本人1,800余名の腸内細菌からエンテロタイプを調べたところ、5つ目のタイプが発見され、日本では5つのタイプに分類されることが多いです。

腸内環境って変えられるの?

「どのタイプの人はどうすれば改善されるのか?」については残念ながら明確にはわかっておらず、さらなる研究が必要です。
しかし、血液型と違いエンテロタイプは変えることができるとされていますので「私は〇タイプだから」とあきらめたり、悲観的になる必要はありません😂✨
最近では疾患ごとに腸内細菌を調べ、健常者とどんな違いがあるのか研究が進められています。
ある研究では、2型糖尿病患者に食物繊維を多く含む食事療法を3ヶ月間行ったところ、エンテロタイプが変わり、血糖管理がより改善したという報告もあります。
腸内細菌は風土や日々の食生活、生活習慣はもちろんですが、内服薬やストレス、運動習慣などにも関係していると言われているため、これらを変えることでエンテロタイプを変えることができると考えられています😋🥗

まとめ

腸内フローラの話をすると自分がどんなタイプに分類されるのか気になるのではないでしょうか?
腸内フローラを調べるキットはいくつかの会社から販売されています。
興味がある方は調べてみてはいかがでしょうか🦠?

e-ヘルスネット[情報提供]

Suguru Nishijima et al.,DNA Research  Volume 23, Issue 2, April 2016, Pages 125–133,

安藤 朗 日消誌 2015;112:1939―1946

Tomohisa Takagi et al., Microorganisms  v.10(3); 2022 Mar10(3): 664.

この記事の著者

ゆーみん

管理栄養士

株式会社ヘルシーパス 企画開発部 / ためになる栄養講座・ブログ・お問い合わせ担当

自分自身のアレルギーと偏食がきっかけで管理栄養士を志向。大学卒業後は給食委託会社に就職し介護食からスポーツ栄養まで幅広い食に従事。

読んでいただいた皆さんに「ためになった」「面白かった」と思っていただけるようなブログづくりを心掛けています。

自己紹介ブログ ⇒ 新しいメンバーの自己紹介(管理栄養士:荒木)

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